2022.04.18
豆の基本のキ!
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前回お豆のトピックをお話ししましたが、調べているうちにお豆ってこんなに種類があったんだとビックリしちゃいました。世界で食用とされているお豆は約70~80種類あるといわれています。いったい日本ではどのようなお豆たちが栽培され食されているのでしょうか?ちょっと見てみましょう。♥
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◎多種多様な豆の世界
一般的に「豆」とは、植物分類学上、マメ科に属する植物の種子をさし、世界で約650属1万8000種に及び、植物ではキク科、ラン科に次ぐ一大グループとなっています。日本の市場で流通している豆の主な分類と、その特徴をご覧ください。
ダイズ属
「豆の王様」「畑の肉」と呼ばれるほど栄養価の高い大豆。豆腐をはじめ、納豆、味噌、大豆油などの原料として、日本人の食生活を支えている重要な豆です。おなじみの黄大豆のほか青大豆、黒大豆、赤大豆、茶大豆など熟した豆の色で種類が分かれます。全国的に栽培されていて、未成熟な状態で収穫されたものは「枝豆」として食べられています。枝豆は枝付きのまま、茹でて食べたことがそ名の由来となっています。
ササゲ属
ササゲ属の仲間には小豆、大納言、ささげ、緑豆などがあります。小豆は和菓子に欠かせないあんの原料で、主な産地は北海道。小豆の中でも大粒な品種群は大納言と呼ばれます。
ささげは小豆に似通っているものの、別種とされています。小豆は煮たときに皮が破れやすいため、腹が割れる「切腹」を連想させることから武家社会で嫌われたといわれ、赤飯を炊く際、主に関東地方では、小豆より皮が破れにくく煮くずれしにくいささげが使われたそうです。
インゲンマメ属
インゲンマメ属は、豆のサイズや色、柄が多種多様。代表的なものは、金時豆、うずら豆、大福豆、白花豆、紫花豆、とら豆、手亡、レッドキドニーなどがあります。国内の主な産地は北海道です。
諸外国では煮物、焼き物、サラダなどさまざまな料理に広く使われていますが、日本では多くがあんや和菓子、煮豆、甘納豆の原材料として作られています。残りは小袋入りの乾燥豆として流通し、家庭料理に使われています。
ソラマメ属
完熟したそら豆は乾燥させて使用することが多く、煮豆、おたふく豆などの材料に使われます。熟す前の黄緑色のものは野菜として店頭に並び、塩茹でにして食べるのがポピュラーな食べ方です。
莢(さや)が空を向いていることから「空豆」と呼ばれるほか、莢の形が蚕に似ていることや、蚕が繭を作る時期においしくなることなどから、「蚕豆」と書いて「そらまめ」と読むこともあります。
エンドウ属
若い莢を食べるさやえんどうや、熟す前の状態のグリーンピース(青えんどう)のほか、成熟してから収穫した赤えんどう、白えんどうなどがあります。また、豆苗はえんどう豆の若菜で、葉と茎を食べます。
ラッカセイ属
江戸時代に中国から日本へ渡来した際に「南京豆」などの名がつきましたが、その後、普及して「落花生」の名で知られています。由来は、花が地面に落ちて、地中に豆ができることから。脂質を多く含むことから、海外ではピーナッツバターや搾油原料に使われます。国内の主な産地は千葉県、茨城県です。
ヒヨコマメ属
ひよこ豆は鳥のくちばしのような突起があり、文字どおりひよこのような形をした小粒の豆。日本でもカレー、スープ、サラダなどの材料として利用される機会が増えています。世界の生産量の約3分の2がインド産です。
ヒラマメ属
ヒラマメ属に属するレンズ豆は、直径約4から8ミリメートル、厚さ約2から3ミリメートルほどで、凸レンズのような形をしています。扁平な形をしていることから、「ひらまめ」とも呼ばれます。皮付きのものだけでなく皮むき加工をほどこしたものが広く流通しています。主な生産国はインドやトルコなどで、日本では主にカレー、スープ、サラダ、付け合わせなどに用いられています。
◎豆たちの来た道
日本でおなじみの大豆、小豆、ささげ、いんげん豆、べにばないんげん、えんどう、そら豆、落花生はいつ、どこからやってきて、栽培されるようになったのでしょうか。
日本の豆の来た道を調べてみると、ほとんどが中国を経由して伝わり、大豆が弥生時代の初期に、次に小豆が、えんどうやそら豆は8世紀頃伝わったとされています。
栽培については、農耕の開始とともに穀類と並ぶ作物として生産されるようになったといわれています。乾燥豆は貯蔵性が高いうえ、高たんぱくな栄養食として重宝されてきました。また、マメ科植物の根に共生する根粒菌の働きによって、地力(ちりょく)の維持・向上が望めることなどから、各地で栽培されるようになりました。
◎豆の魅力!
ひと粒ひと粒は小さいですが、栄養価に優れており、生活習慣病の予防や、健康な体づくりはもちろん、美容にも効果がある豆。普段の食生活にぜひ豆を取り入れてみませんか。
豆には3大栄養素のたんぱく質、脂質、炭水化物が含まれており、それぞれの構成割合によって炭水化物グループと脂質グループに分けられます。
どちらのグループにも、生体機能の維持・調整に必要なミネラル類や、糖質や脂質の代謝を助けるビタミンB群、さらに、ポリフェノールなどの機能性成分や、便秘の予防・改善に役立つ食物繊維が豊富に含まれています。
日本では、甘く味付けされた調理法が多いですが、海外では煮込み料理など、さまざまな調理法で食べられています。
参考資料:『七訂 食品成分表2020』(女子栄養大学出版部刊 監修:香川明夫)、
『すべてがわかる!「豆類」事典』(世界文化社刊 監修:加藤淳・宗像伸子)、
『「豆」元気、きれい。…豆のチカラ、再・発・見。…』((公財)日本豆類協会刊 監修:近藤和雄 料理指導:牧野直子)